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Bohemian DeDe
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魔法使いの旅行団 13
 長い、長いシベリア鉄道の旅も終わりに近づいていた。

途中の駅から乗ってきたポーランド人のAnitaがDeDeに引っ付いて
離れない。

Anitaという名前であることだけは分かるのだが、彼女はポーランド語と
ロシア語だけしか解さないし、DeDeはその両方とも分からない。

どうも、ポーランドからモスクワに絵の勉強に来ていて、
休みを利用してロシアを旅しているらしかった。

DeDeの似顔絵を頼みもしないのに描いてくれる。

それが素晴らしく上手だ。 でもくれなかった。

団長のへたくそな通訳によると、ポーランド人は日本人に
とても親近感を持っていて、日本びいきがいっぱいいるらしい。

そんな話はかって聞いたこともなかったが、
このAnita,全く言葉が通じないのに、色々話しかけてきては
一人で納得して笑っているのには閉口した。


正直、Anitaみたいな子や、団長でさへも、何か目的があって
DeDeに近づいてくるのではないかと(その目的とはだいたい
手持ちの何かを外貨で買ってくれとかいうことなんだが)
思っていた。

悲しいことだが、東欧圏を旅しているとこの話にことかかない。

当時はDeDeも若かったので、ボラれては大変とばかりに
必要以上に身構えて、寄ってくる人を疑いの目で見ていた
ことは告白せねばならない。


でも、このシベリア鉄道に乗車中、全財産をお腹に巻いて
寝るときも片時も緊張の糸をほぐしはしなかったが、
そんな必要は全くない位、人は誠実で、親切で、正直だった。

ある時、汽車の中でお茶売りのおばさんが来た。
干し魚をくれたワーニャにふるまおうと、お茶を頼もうとしたのだが、
10ドル札しか持っていなかった
(団長のビールで使い果たしてしまったのだ)

これで払ったら・・・と差し出したが、おつりがドルではあげられない
のでサービスだとなんと我々にただで振舞ってくれた。

別にお茶の相場がいくらなのかも分からないDeDeに適当に
ルーブルを返して外貨をせしめれば、このおばちゃんは
ルーブルの価値より3倍のものを手に入れることができたのに。

Anitaは似顔絵はこの大切な出会いの宝にしたいので
自分で持っていたい。 住所を教えてくれたら、コピーをあげる
と言って、3ヵ月後、その似顔絵のコピーは本当に
日本のDeDeの自宅に届いた。
全く分からないポーランド語の長い手紙と一緒に。

いよいよモスクワの駅に近づいてきた時に、
団長は黒いマントの下から、その黒に美しく映える真っ赤な石
を取り出してDeDeの手に握らせた。

何だろう、この石は?

めのう、のような、でももっと紅い。

ハンガリーの彼の故郷でラッキーチャームだと言う。

「素晴らしかった日本での滞在と、その素晴らしい国の美しい
お嬢さんと知り合えた記念に!」  

まるでイタリア男のような饒舌なくどき文句だ。

ハンガリー人というのはきっと世界でも名をはせるプレイボーイ
なんだろうな〜

みんなDeDeから奪うどころか、多くのものを”与えてくれて”
モスクワから故郷へと発っていった。

素顔の人々との素朴なふれあい。

これこそがBohemian DeDeの旅の真髄である。





                    Bohemian DeDe




Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 16:48 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 12
 イルクーツクからロシア人も我らが車両に乗ってきた。

もう、この頃になると車両中が我らの家、みたいになってきて
お互い気心も知れてきているのでコンパートメントから
コンパートメントへと渡り歩いては”同志”とおしゃべりして
過ごすのは当たり前となっていた。

新参者のロシア人にやあ!と声をかけて、何処に行くのか?とか
聞いてまわって楽しんでいるのはDeDe一人である。

東欧人はみんなロシアが嫌いだ(当時はソ連に抑圧されて
いたから仕方がない)

ちょっとあからさまな位無視している。



団長も知らん顔をしてビールを飲みすぎて、顔を赤くして
寝てしまった。

ロシア人は汽車に乗っていた他の東欧人よりも
はるかに質素で、食料は全部弁当を持って来て乗り込み、
モスクワに着くまで一度たりとも食堂車であたたかい食事を
とったりすることもなかった。

団長が買ってくれた魚の干物ははっきりいってしょっぱいだけで
美味しくなかった。

まずそーな顔して干物をかじっているDeDeを見て、
途中乗車してきたロシア人のワーニャは自分の弁当を
分けてくれた。

それも魚の干物なのだが、駅で買ったものよりやはりずっと美味しい。

美味しい とワーニャに言うと、
おかあさんが作ってくれたんだから当たり前だ
という感じで誇らしげにもうひとつくれる。

ロシア人はみんなもの静かで、音楽で騒いでいる我々とは
違って、それぞれ本を読んだり静かにおしゃべりして
長い列車の旅時間を過ごしている。

ところが・・・
ウォッカを仰いでしこたま酔ったロシア人の大男が
団長の一番弟子の、あのアコーディオンひきを”うるさい”と言って
怒鳴りつけたのだ。

これには魔法使いの旅行団、団員全部がやり返す。

なんとやり返しているのかは皆目分からないが、みんな目が釣りあがっている。

ソビエト連邦共和国とその衛星国であるハンガリー、ルーマニア、
ブルアガリア,ポーランドなどなど、それらの国々は表向きは、兄弟、
同胞という事になっているが
東欧諸国の人たちのソ連に対する恨みは実はすさまじい。

この旅以前にも東欧へは何回か行っていたので、その辺の事情はよく分かる。

体格はロシア人の酔っ払いおじさんの一人勝ち。

だが、彼の怒鳴りに対して団員達は冷ややかなジョークや、やじで応酬して
状況はハンガリーの魔法使いの勝ち。

DeDeは心の中で「おじさん,止めときなよ、この人たち魔法使いだよ。
呪いでもかけられたら大変だよ

と言ってあげたかったのだが、ロシア語は話せない。

当然だが、東欧のソ連の衛星国の人ははみんなロシア語が出来る。
学校で必修科目だからだ。

だからこのアコーディオンの君もロシア語で大男にジョークまがいの
(多分侮蔑の言葉を言っているのではないか?)言葉を投げかけては
アコーディオンを美しく弾き、笑っている。

そのうち、きっと彼の投げかけた言葉はウィットに富んでいたのだろう。
まわりの乗客たちも笑い出して、酔っ払ったロシアのおじさんは
振り上げたこぶしを降ろすしかなくなって、気まずそうに立ちすくんでいる。

*解説* まわりの乗客達というのはロシア人もいるが、人数的には
DeDeと一緒に横浜から乗り込んできた外国人、ほとんどが東欧の
人たちで、みんなロシア語が分かるので、おじさんの味方はいないので
あった。

ほうれみたことか! やはり彼らは魔法使いの一団だ。

赤い顔の酔っ払いロシアおじさんは魔法をかけられ、
その巨体を座席のシートに埋めて、
もういびきをかいて眠らされているのであった。

             
                  Bohemian DeDe





Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 23:35 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 11
 多くの人は汽車から全然降りないで1週間も旅をするなんて
ちょっと経験はないだろう。

まずは膨大な時間の無駄
この何処へでも飛行機で飛んでいける世の中で、何を好き好んで
バカみたいに時間をかけて長距離を移動するのか

豪華客船ならいざしらず、狭い汽車のコンパートメントに押し込められて、
1週間なんて、拷問と同じだわ。

そう、多くの人に言われた。

だが、島国根性の中で生まれて、育ったDeDeには大陸の膨大さを
実感するためにも、大陸横断鉄道にのっかってえんえんと荒野を
臨みながら目的地に着く、という行為そのものにロマンを感じるのだ。

でも、そんなロマンに浸っている人間は周りを見渡してもDeDe位なもんだ。

ナホトカ号で一緒だった日本人の商社のおじさんたちは、ハバロフスクで
みんな降りていった。

ブルガリア人にも、ハンガリー人にも、ルーマニア人にも聞いたが、
この汽車に乗っている理由はみ〜んな一緒。

「安いからさ〜」  だった。

今でこそ格安チケットなんて一般的で、NY往復8万円くらいで出来るのは
当たり前になったが、
1980年代なんて格安チケットで30万くらい平気でしたもんだ。

それに比べると、やはり大陸横断鉄道はもの凄く安かったような気がする。

長い、長い、長い、時間の後、イルクーツクに汽車は停まった。

物売りが一斉に汽車の窓に群がってくる。

売っているものは、えーと、お水(瓶づめ)、なんかわけの分からないジュース、
黒パン、肉の干物みたいなもの、チャイ(ロシアンティー)

食堂車の食べ物にも飽き飽きしていたので、なにか物色したいのだが、
あまりの人だかりと、どう声をかけていいのか分からないで、
オタオタしていたら
団長が強引にいくつかの飲み物と魚の干物を取り上げて
DeDeによこしてくれた。 お金は団長が払ってくれさへもした。

DeDeはメシをおごってくれる人に弱い。

途端にこの団長がいい人に思えてきて、お礼に食堂車でビールを
ご馳走するからと誘うことにした。

冷たく冷えたビールは乾燥している大地にノド越しが大変よく、
相棒もいて確かに楽しかったのだが、そのうち干物を買ってもらった
ことを後悔した。

この団長、黒マントを何回もめくりながら汽車に積んであった
冷えたビールを全部飲み干してしまったのである






                        Bohemian DeDe
Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 11:12 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 10
 
まさか、この魔法使い、日本語できるのか

と一瞬びっくりしたが、団長の日本語はここまでだった。

日本滞在中に覚えたと言っていた。

だが、くだんのブルガリア人といい、この団長以下魔法使いの旅行団は
何で日本なんかに旅行しているんだろう

こういっては失礼だが、お金持ちそうには見えない。

で、聞けばハンガリーの一団だそうだが、ハンガリー人が普通に日本に
旅行するなんてちょっとあり得ない。

詳しくは語らないので、やはり魔法使いの一団なんだとDeDeは思うことにした。

この団長、DeDeの側によってきてなにをするのかと思ったら、
「ハンガリー民謡を一緒に歌え

というのである。

で、アコーディオンのお兄さんに合図をすると、彼は美しい調べを
かなで始めた。

う〜ん  何故だか、この曲知っている。

そして、次の曲も、その次の曲も、知っている。

子供の頃、ハンガリー民謡とは知らずに習ったり、レコードを聴いたり
したんであろう。  確かな記憶はないのだがどれも聞き覚えがあるものだった。

団長はしたり顔でDeDeのハミングする姿を見ながら自分は
大声で歌っている。

とても素人とは思えない。 素晴らしい声なのだ。

男性合唱団にでもいたんだろうか?

合唱団に所属している変な魔法使いである。

アコーディオンの調べが軽快なものから、もの哀しい旋律に変わった。
これはDeDeは聞いたことがない。

団長の独唱になった。

魔法使いの太く透き通った声が永遠につづくシベリアの大地に
吸い込まれていった。


                                    Bohemian DeDe
Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 11:35 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 9

彼らは魔法使いに決まっている。

団長は黒いマントを着ているからだ。
おまけにそのマントの内側は赤くて、
彼は紛れもなくメフィエストフェレスなのであった。

団員は12人位で(何処から団員で何処から違うのか正直DeDeには
よく分からない)それくらい、みんな細長い列車の廊下に出て
歌ったり、踊ったり、ソーセージもどきの物を食べたりしている。

ワインをずーっと飲んだくれているのはもちろんである。

だが、不思議なことに、下品に酔っ払っている人は一人もいない。

こういう長距離列車に乗ると(最近は少し違うのかもしれないが)必ず
赤ワインと、ソーセージとパンを持参して、顔を赤くしてくだをまいている
オヤジがいるものだ。

DeDeの出合ったそういうオヤジ達はたいがい異国に出稼ぎに行っている
イタリア人、ギリシャ人だったが、隣の席に座っているのにいつも
必ず大声で話しかけてくる。

そして家族の写真を胸に忍ばせていて、酔いがまわってくると
だれかれお構い無しにその写真を見せて歩くのである。

この旅行団の団員は品行方正でそんなことは決してしない。

みんなとてもシャイでたまにDeDeと目が合っても、ニッコリと微笑むだけだ。

厚顔の美少年・・・よりはもうちょっと歳を取っている、かっての厚顔の美少年
は小さなアコーディオンをそれは、それは、美しく奏でている。

そのどれもが驚くほど切なく哀しい音を出しているので、乗客は皆
コンパートメントから身を乗り出して、その音の主を目で追っているのだ。

曲と曲の間に拍手やBravoの声がかかる。

呆気にとられていると、さっきまで美しいテノールでアコーディオンの
伴奏をしていた魔法使いの団長が黒いマントを翻してDeDeの方に
寄ってくるではないか!

コンニチワ!  と団長はすべらかな日本で話しかけてきた。







                           Bohemian DeDe


    

Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 20:16 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 8
 心は馳せるよシベリアへ!

と思って乗り込んだのだが、シベリア横断の旅で途中下車をする
スケジュールをやはり組むべきであった。

今、思い返すと、当時のソビエト連邦の旅は、何処にいってもただでガイドが
ついて来る旅であった。(旅行者が勝手に何処にでも行けないのだ)

今なら人件費で1日最低でも1万円はとられるだろう。

それが、タダ だったんだ

もっとも言葉が通じないからガイドとしての意味がないけど。



で〜 来る日も来る日も、窓の景色はおんなじ。
ただのノッパラで何もないのだ。


よく考えると、広大なソビエト連邦で厳しい自然の横たわる
シベリアに人家などない所ばかりである。

「おろしあ国酔夢譚」の大黒屋光太夫の気持ちになって、
しばし窓の外を覗けば、やはりそこは何もない、ずっと変わらぬ
永遠と続く荒野なのであった。

ふと、我に帰ると、なにやら楽しげなアコーディオンの音楽が聞こえてくる。

アレっと気がついて、廊下に出ると楽団のような人の群れが
酒を片手に歌ったり、あの狭い廊下で踊ったりしている。

これぞ魔法使いの旅行団であったのだ


            Bohemian DeDe
Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 14:32 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 7
 長い、長い、汽車の旅。

勿論、汽車はコンパートメントの4人部屋となっている。

寝台車に乗ったことのある方ならわかるであろう。

下の段は昼間はみんなの座る座席であり、上の段は上部にしまわれる
構造になっている。

ちゃんと綺麗で清潔なシーツと枕が支給され、案外きちんと整備されている
のにやや驚いた。

DeDeが乗り込んだ車両はみんな船からの乗船客で、でもこんな人いたか?
というような顔ぶればかり。

それだけ船は揺れまくり、みんなキャビンに閉じこもり、具合悪くて
出てこれなかったわけだ。

しかし、この車両に乗っていた人々はほんとうに面白かった。
ここからがこの”シベリアの旅”の本領発揮なのである。

まずはコンパートメントで一緒だったブルガリア人。



DeDeは今でもこの人たちはブルガリアのスパイではないか?と信じている。

このおばさんは在日本ブルガリア大使館に勤めていた!と言っていたが、
船から汽車に乗り換える時に、大量の荷物を持っていて、その荷物を
DeDeの持ち物としてソビエト連邦に入国してくれ!じゃないと税金が
取られるから????

今思うとわけの分からない話だ。

別に酒や香水でもなさそうなのだが、なんで沢山の荷物が税金の対象に
なるんだ?  なんたってこのおばさんはソ連人ではないのに。

重量オーバーだから、といったのか、その辺はよく覚えていないのだが、
飛行機じゃあるまいし、汽車に乗せるのに重量オーバーとか、
あるのかな〜???

世間ではこういうことを言って、たくみにドラッグなどを他人の荷物として
持たせ、ばれたら自分はドロンという手口がたくさんある。

この頃弱冠25歳くらいの若かったDeDeはそんなことに頭が及ばず、
気軽に引き受けてしまったのだが、今思うともしなんかあったら、
遠いハバロフスクのラーゲリ(強制収容所)で、穴掘りでも
させられたかもしれない


一緒に映っている娘は姪で、ソフィア大学の大学院で経済を
勉強している秀才らしい。
ちなみにソフィア大学というのは日本で言えば東大の様な所だ。

このおばさん、大使館員だと言う割には英語も話せないし、
任期を終えて、日本からブルガリアに帰る所だと言っていたが、
なんで飛行機で帰らないで、わざわざ、面倒くさいシベリア鉄道
なんか使って帰るのだろう?

国から帰国旅費なんか出るに決まっているだろうに、
そうだ、第一外交官特権で荷物なんか調べられるわけないのに?

もっとも、外交官だとは言っていなかったけど。
もしかして、大使館の給食のおばちゃんだったのかな?
いや、でも姪っ子を通して話していたことは、とてもアカデミックだったけど。

謎の魔女1号である。

日本に2年ほど滞在していたと言っていたが、京都や奈良の話を
しむけても、乗ってこない。
〇〇行きましたか〜???と聞いても、行ったことがないという。

う〜ん 一体日本で何をしていたんだろうか?
やっぱり秘密の諜報活動だったか????

この姪っ子Leniはおばさんを迎えに来たというが、やはり
日本に滞在中の話は避けているとしか思えない。

でも大きな鞄の中に入っていた黒パンとか野菜の煮たの、とか
DeDeにも振舞ってくれたので、やはりいい人たちなんだと思う。


                    Bohemian DeDe
Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 11:25 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 6

嗚呼、憧れのシベリア横断鉄道!

これから8日かけてモスクワまで行くのである。


                       wikipedia より引用
           

はるかなるロシアの大地を、ただただ汽車は煙を吐いて
西へ進むのであった!!!!!!


いや、ちょっと待て。 これはDeDeの空想の世界だ。
だって、もうこの汽車は(嗚呼、なんという美しい響きだろうかこの言葉!)
石炭で走っているわけではなく、ちゃんとディーゼルで動いているんだから。

どうも、映画の見すぎ、というか
愛読してきたロシア文学のワンシーンに色と音がついて目の前に
現れてくるのだ。

アンナ・カレーニナの恋人ガアンナの死後、心ふさがれながら戦に向かう姿。

トルストイの最後の逃避行。

ドクトルジバコの医療チームが国内移動して行く様。

冷静に考えると、それらの全てが必ずしもシベリア鉄道というわけではないのだが、
まあ、そんなことはどうでもよい。

とにかく、異国での長期にわたる汽車の旅 という最高のロマンを
楽しむために一人で盛り上がっているだけである。

ナホトカからまずは北上してハバロフスクまで行く。
そこからいよいよ汽車は西へと向かって走り出すのであった。


                          Bohemian  DeDe

Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 09:52 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 5
 ついにハバロフスクに着いたのだ。

その後何回も行くことになったロシアへの旅の偉大なる第一歩
であった。

本当はここでゆっくりして、かっての日本人街に行ったり
シベリア抑留された関東軍の墓地に行ったりしたかったのだが
当時(1985年)ソビエト連邦内を勝手に自由に旅行など出来なかった。

当時はソビエト連邦に入国するには、事前に訪れる場所を申請し、
当局の許可を得て、はじめてVISAが発行され、それに元づいて
全工程に係りの者がついて、かってに予定を変えたり出来ないように
なっていた。

立ち入れる場所も限定されていて、重要な不凍港で戦略的位置づけ
の軍事的に高かったナホトカも例外ではなく、理由もなく当局の
決められたルート以外に立ち入れなかったのである。

で、そのままシベリア鉄道に乗ることになった。

もちろん日本語の話せる一応顔だけは優しそうなおじさんが
我々の面倒をみてくれる。

これはソビエト連邦の旅行会社の人で、きびし〜入国審査の間、
色々と世話を焼いてくれた。

DeDeは学生の頃、心情的に社会主義者だったことがある。

生まれも、育ちも関係なく、一市民として人々が平等に働いて
生活の糧を得て生きてゆく・・・・理想の国家のあり方だと思っていた。

だが、ソビエトや東ドイツ、チェコスロバキ、ポーランドなどを
見て歩くうちに、そういう国家が国家の強制力に頼らなくては
成り立たないシステムなのだったら、所詮民意ではなく、
だったら意味がないと思うに至った。

この世にパラダイスはない! というのがDeDeの持論である。
何かが優れていれば、必ず何かは抜け落ちている。

だが、それでも国民を見張り、システムを強制し、1党独裁の元に
動く社会システムはそれがどんなに優れているものであったとしても
その存在は不幸である。

どんな外国人による善政よりも自国人による悪政の方がましである、
というのと同じことだ。


ゆうに3時間は越える入国審査の後、我々はノロノロとシベリア鉄道に
ついに乗り込んだのであった。



Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 10:27 | trackbacks(0) | pookmark |
魔法使いの旅行団 4
 「陸が見えてきたぞ〜」の声で目を覚ます。



あまりにもよくあるパターンなのでウソだと思われるだろうが、
本当の話だ。

横浜を出航してからまだたったの3日弱しか経ってないのに
”陸が恋しい”なんて言ったら笑われるであろうが、
船酔いのつらい身分には、やはり早く大地に立ちたいと
思うものである。

”陸”

そこはいよいよ、おロシアである。


地図でみると、ロシアと日本は本当にすぐ側のお隣さんなのは
よく分かっているのだが、こうして船で陸から陸へと
渡って見ると、先人達の(って今でもそうだが)ロシア帝国脅威論
が身にしみて迫ってくる。

そうして我々の船 ナホトカ号 は無事ナホトカに到着した
のであった。


                                         Bohemian DeDe


Bohemian DeDe
| 世界心の旅 シベリア編  | 16:12 | trackbacks(0) | pookmark |
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